安倍晋三元首相について

 安倍晋三元首相は、昨日奈良県内で参議院選挙の応援演説中背後から撃たれ、そのまま帰らぬ人となってしまった。

 僕は安倍元首相のことが嫌いである。森友学園や桜の会などやりたい放題だったのに、検察から告訴されていないことには、まだ納得がいかない。そして、彼のせいで二度ほど絶望的な気持ちになった。

 一回目は安保関連法案の時である。敬愛する長谷部恭男先生も違憲であるという意見を出して、世論調査でも反対意見が多数を占めていたにもかかわらず強行採決され、その後の選挙でも自民党が陥落しなかったことである。この時は民主主義とはこんなものなのかと絶望した。

 そして、二回目は今回である。僕は、安倍元首相が政治的に敗北する姿が見たかった。暴力的な方法で倒れる姿なんて見たくなかった。これで、安倍元首相が負けることはなくなってしまった。そのことが残念でならない。

 故人も首相引退後暫く静かだったが、最近は精力的に動いており、自分の信念に従って日本をよくしたいと考えていただろう。

 ご冥福をお祈り申し上げます。

地方公会計について

 平成28年度決算までに地方公共団体は統一的な基準による財務書類の公表が求められていた。その前にも公会計が行われていたが、簡易的な方法の総務省改定方式や基準モデルなど多種多様モデルが乱立していた状況であった。

 その中で、個人的にとても気になった考え方が税収を収益とみると資本とみるかという点である。東京都モデルは税収を収益とみているためPLに出てくるが、統一的な基準では税収は出資とみているため、NWに出てくる。これは、会計論で考えると市民は外部資本と考えると内部資本と考えるかという点に影響している。つまり、税収を収益と考えることは市民を外部資本と考えることであり、出資と考えるということは市民を内部資本と考えることである。

 この点については、市は市民のものであるという考え方からすると税収を内部資本と考えるほうが自然なように思う。ただ、このようにするとPLは基本的に赤字になるので企業会計の財務書類とは随分と見方を変えないといけない。恐らくそれを意識しているため、公会計ではPLを行政コスト計算書という名前で呼んでいるものと思われる。

 そして、純資産変動計算書の中にある本年度差額という部分が、本来企業会計上はPLで計算している赤字か黒字かを計算する部分となっている。

 このように、地方公会計は企業会計の考え方を取り入れているが、地方公共団体の実態に合うように改変されており、一般企業の財務書類を読める人が見ても直ぐにわかるというものではない。

 個人的には、このようにしっかり考えられた地方公会計の考え方に好意を持っているが、ただ財政診断には向かないという点については、毎年作らなくてはいけない身としては何のために作っているのか分からなくて虚しいと感じている。

 ただ、副産物として作られる固定資産台帳については、公共施設マネジメントや施設の維持管理に役立つものになるので、ここをいかに正確に作れるという仕組みにはしっかり注力したいと考えている。

浜矩子「人はなぜ税を払うのか」を読んで

 税金とは、社会を営んでいくために支払われる会費であるという考え方がある。しかし、会費とは払う人は会員、払わない人は非会員という区分けがされてしまうため、非会員を排除する機能がある。

 しかし、これは税金を払えない人を救うことが役割であるという福祉国家の考え方とは相容れないものであり、前近代的な考え方である。ただ、財務省などのホームページを見ると未だに税金とは社会の会費であるという文言が見られ、このような考え方から脱していないようである。

 そのため会費(税金)を払えていない生活保護受給者に対する差別的な意識が生まれ、肩身の狭い思いをしている。他者を思いやる成熟した社会になるためにも、役人が税に対する意識を変え、税というものの役割をしっかりと説明できるようにならなければならない。

 この本を読んで、そのように叱られた気がした。

財政投融資

 地方公共団体が借金をする時に、公的資金の借入先として財政融資資金というものがある。これは財務省が所管している資金だが、調べてみると財政投融資計画に基づいて貸し付けをしているということで、借りているのは地方公共団体だけではないということが分かった。そもそもの財源は、郵貯簡保・年金資金で日本の高度経済成長を支えてきた資金といっても過言ではないらしい。

 そして、日本の社会保障が低負担で成り立っていたのは、この財政投融資のおかげと「日本財政の現代史」に書いてあったが、なぜそのようになるという部分について、自分の中で理解が及んでいない。

 また、小泉改革の中でこの財政投融資が標的にされたということだが、郵便局をぶっ壊した小泉首相が標的にしたのはある意味当たり前のことと感じる。ただ、この時財政投融資が随分圧縮されたが、最近のコロナ等で公的資金の重要性が認識されたこともあり、随分と揺り戻しが起きているようである。

自治体財政健全化法

 ドッジラインなどにより、地方自治体の財政が急激に悪化した戦後直後に作られた地方財政再建促進特別措置法(昭和30年)が52年ぶりに改正されて、成立したのが自治体財政健全化法(平成19年)である。これは当時総務大臣であった竹中平蔵氏が破綻法制を意識して法改正を検討したが、最終的には破綻させる前に国が介入することで再建するようなものとなった。また、この法改正を検討している間に夕張ショックがあり、法律の内容に強い影響を与えた。この夕張ショックを契機にして自治体財政健全化法が作られたと思っている人も多いと思うが、正確には検討している最中に起こったもので、順序としては法律改正の法が先行していた。

 法律が成立して10年以上が経ったが、当初は夕張市以外にも財政再建団体があったが、年々その数も減少していき、今や夕張市のみとなっている。これは、議会に報告する義務を課すなどの法設計が上手くいったのではないかと考える。これを算定している最中はその内容などについて思いを巡らす余裕がなかなか無いが、それぞれの数値の意味などをよく吟味して、この制度の中身をよく理解したいと思う。

後期高齢者医療

 日本は世界で一番早く超高齢化社会を迎えているといわれるが、これは老人医療費の無料化(昭和48年~)などにより健康状態が良くなったことが原因といわれている。病院が老人のサロン化していると批判されていたが、全く効果がなかったわけではないのである。

 ただ、これらにより老人医療費が急増したため、老人保健法(昭和58年~)で自己負担を導入したが、折からの高齢化社会の到来等により老人医療費の増加を止めることができなかった。また、バブル崩壊等で経済状況も悪化し、若年人口の減少も相まって、老人保健制度を支える財政基盤もだんだん悪化していった。平成9年度から老人保健制度新制度の検討が始まり、平成14年度までには新制度を創設すると約束したが果たされず、平成20年になってやっと後期高齢者医療制度ができたのである。

 

上水道事業

 上水道管路の法定耐用年数は40年であり、高度経済成長期に作られた管路の更新時期が一斉に迎えている。しかし、上水道事業の経営環境の悪化などから更新がなかなか進んでいない。老朽管の更新については、更新が進まないと災害時に被害が大きくなる可能性があるので、通常事業分より多く更新をした上積事業分には地方財政措置が取られている。

 ただ、これには一般会計からの出資債が必要になり、半分は一般会計の負担になるので、一般会計側から理解を得る必要がある。つまり、なぜ独立採算制を取られている水道事業に税金を投入する必要があるのか。受益者負担が原則なのではないのかという疑問に答える必要がある。