浜矩子「人はなぜ税を払うのか」を読んで

 税金とは、社会を営んでいくために支払われる会費であるという考え方がある。しかし、会費とは払う人は会員、払わない人は非会員という区分けがされてしまうため、非会員を排除する機能がある。

 しかし、これは税金を払えない人を救うことが役割であるという福祉国家の考え方とは相容れないものであり、前近代的な考え方である。ただ、財務省などのホームページを見ると未だに税金とは社会の会費であるという文言が見られ、このような考え方から脱していないようである。

 そのため会費(税金)を払えていない生活保護受給者に対する差別的な意識が生まれ、肩身の狭い思いをしている。他者を思いやる成熟した社会になるためにも、役人が税に対する意識を変え、税というものの役割をしっかりと説明できるようにならなければならない。

 この本を読んで、そのように叱られた気がした。